———-ザッーザッザッー—-ザッ——————————-

———————プツンッ—————-

 東西東西!これより語るは五つの話!
 さあさあ皆様キクモキカヌモアナタノジユウ
 語りましょう、紡ぎましょう!この物語を!

―――――――――――――――――――――――――――――

 最初に一人消えました。よくあるありふれたお話です。
 男は病気でした。気づいた時には末期癌だったのです。仲の良い四人には、疾うに別れを済ませました。後悔するなら真っ先にいってしまうことでしょうか。あの、ストッパーが居ないと暴走列車の彼等を残していくのが心残りでしょう。そんなことを考えていたら、段々と眠くなってきました。
ああ、俺がいったあとあいつらは大丈夫だろうか…… 一抹の不安を残しながら 其れでも穏やかに息を引き取ろうとした…… そんな男に声が聞こえました。
  「オマエが読んでいた漫画の続編でたぞ」
それを聞いた瞬間、男は表情を一変させ絶望の奥底に陥ったまま、息を引き取っ たのです。

―――――――――――――――――――――――――――――

 次に2人目が消えました。良くある話です。
 女は仕事帰りでした。先日、仲がいい友を見送り、まだ若いのに… などと言っ てくる上司(カス)に耐え、仕事を終えてきたのです。夕方のこの時間、遊んだ 帰りや学校帰りの子供も多く車通りが多いため、大変危険です。すると、如何で しょうか。信号待ちしていた自分達歩行者の方に、トラックが突っこんでくるで はありませんか。人々は皆逃げて行きますが、1人だけ動けなくなっている少女 がいます。女は咄嗟に動き、少女を突き飛ばしました。ドンッと音が響きます。
  「大変です!人が轢かれました!」
そんな声と大勢の中で女は息を引き取りました。残していく残りの三人を心配しながら。

―――――――――――――――――――――――――――――

 三人目が消えました。此れはこの世の地獄のような話です。
 男は俗に言うブラック企業に勤めていました。就職も上司も恵まれなかった 男は、上司に都合が良いため取引先の上役に売られてしまいました。そいつは人 でなしだったので、なにより他人の苦痛に歪む顔が好きでした。男も例に漏れず、 有りとあらゆる苦痛を味わいます。まるで本当に此処は現代なのか、時代を疑う ような代物ばかりです。それこそ中世のものから近代的なものまで、あらゆる苦 痛を与えられます。血を流しても、骨が折れても、肉が裂けても責め苦は続きま す。人の身でよく耐えた方でしょう。男は限界でした。
  (痛い、いたい、イタイ!!!)
薄れゆく意識の中で考えるのは、この屑を末代まで祟ること。そして、残してい ってしまう、残りニ人の友人のことだけでした。

―――――――――――――――――――――――――――――

 さあさあ皆々様!此処までいかがでしたでしょうか。
え?ふむ、『人でなし』…… ですか。
ハハハッいつからワタクシを『人』だとお思いで?
そんな事は置いといて、実に人らしく惨めで美しい末路でしょう?
彼等は誰一人例外なく最後には友を思ったでしょう?
ああ!なんて美しい!
おや…… 名残惜しいですがそろそろお時間のようです。
後の2人の話はまたの機会にでもお話しさせて頂きましょう。

—— ザッーザッザッー—— ザッ—- ザッーザザッーッ————

———————- プツンッ—————-

                 To be continued.